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花粉症は増加の一途

国による大規模な花粉症患者に関する疫学調査は、実際には行われておらず、その実態は推測によるしかありません。
これはあくまでも参考値ですが、平成17年末から18年にかけて行われた首都圏8都県市によるアンケートでは、花粉症と診断されている人が21%、自覚症状で「自分は花粉症だと思う」という人が19%、実に40%の「花粉症患者」がいるということになります。また、ある製薬会社によるアンケートでは、16歳未満の3割が花粉症と考えられています。

花粉症をチェックする

1)風邪のような症状が続く
風邪なら「くしゃみ・鼻みず・鼻づまり」の症状が、1〜2週間ほどで落ち着きます。でも、花粉症の場合はこの症状が長引きます。もし、症状が治まっても、もしかしたら軽度の花粉症かもしれません。

2)くしゃみが連発する  
風邪のくしゃみは続いても3〜4回くらいです。花粉症の場合は、7〜8回くらい続けて出て、花粉が飛散しなくなる時期まで続きます。

3)鼻みずがサラサラしている  
風邪は、はじめはサラサラしていた鼻みずがネバネバしたものに変わり、色も黄色っぽくなってきます。一方、花粉症は、透明でサラサラした鼻みずが、季節を通して続きます。

4)熱があまり出ない  
風邪は「くしゃみ・鼻みず・鼻づまり」の他にも、発熱やノドの痛みを伴いますが、花粉症は、発熱や筋肉痛を伴うことはあまりありません。

5)鼻づまりがひどい  
風邪で起こる鼻づまりは、比較的軽いことが多いのですが、花粉症では症状がひどく、両方の鼻が完全につまってしまい、不眠、ノドの渇きや痛みが発することがあります。

6)目のかゆみや充血・流涙  
花粉症の場合、目のかゆみ、充血、なみだ等を伴うことがよくあります。風邪とのもっとも大きな違いです。

7)家族の中にアレルギー体質の人がいる  
アレルギーになりやすい体質は遺伝するといわれています。

8)毎年、同じ時期になると症状があらわれる  
毎年、同じ時期に症状が出る場合、スギ科やヒノキ科あるいはイネ科、ブタクサ等の花粉症が考えられます。

花粉症のルーツ

花粉が原因となるアレルギーが花粉症ですが、欧米では今でも枯草熱(こそうねつhay fever)と呼ばれることが多いようです。
かつて、イギリスのボストックは、春や秋の鼻の不調症状や、喘息、涙目など、牧草の干し草と接触することで発症すると考えました。ボストック自身も長年、同じ症状に苦しめられたのですが、有効な治療法は発見できませんでした。
アメリカではブタクサ花粉症、ヨーロッパではイネ科花粉症が主流ですが、ブタクサは「マッカーサーの置き土産」と呼ばれ、日本には第2次世界大戦後にアメリカから伝わったといわれています。また、カモガヤも明治時代の日本に広がりました。
その後、イギリスのブラックリィの実験によって、「枯草熱」 は、気温の変化や花粉が発する刺激性のにおいや毒素などが原因であるとする考えが否定されます。
1873年、ブラックリィは、空中の花粉測定、鼻誘発試験や皮膚試験などでイネ科花粉症を実証し、著書『枯草熱あるいは枯草喘息の病因の実験的研究』を著しました。
これがきっかけで、枯草熱は Pollinosis (花粉症)と呼ばれるようになったのです( pollen は花粉のこと)。
しかし、アレルギーという概念が成立するには、20世紀まで待たなければならず、この段階ではまだ、花粉に過敏に反応する人とそうでない人がいるということしかわかりませんでした。

花粉症が増加している原因

花粉症といえば、今や国民病とまでいわれています。意外なことに、花粉症は戦後初めて報告された新しい病気です。
日本では、1960年代からわずか40年間で花粉症(とくにスギ花粉症)が激増しました。

1)スギ花粉量の増加
戦後に大量植林されたスギが伐採されずに残り、開花適齢期をむかえています。さらに、地球温暖化の影響も受け、春のスギ花粉の飛散量が増えています。

2)排気ガス・大気汚染
排気ガスなどで汚染された大気中の多くの微粒子が、抗体を産生しやすくし、花粉症の発症を促進します。また、舗装道路の増加に伴って、一度地面に落ちた花粉が再び舞い散ることも原因として考えられます。

3)食環境の変化・不規則な生活リズム
高タンパクや高脂肪の食生活を続けていたり、不規則な生活リズムやストレスの多い生活なども、アレルギーを起こしやすくしています。

4)住宅環境の変化
住宅やオフィスの近代化に伴い、通気性の少ないダニ・カビの温床を作り、アレルギーを起こしやすくしています。

スギ花粉の飛散量は増えている

その年によって飛散量は変化しますが、平均値で見ると以前に比べて飛散量は増えています。その年のスギ花粉の飛散量を左右するのは、前年の夏の日照量といわれます。気温にあまり関係なく、日照量が多い方がスギはよく成長して、春に花粉を大量に放出する傾向があるようです。

スギとスギ花粉

花粉の飛散が多い時間帯

一日の中で花粉がもっとも多く飛散するのは正午頃で、その次に、夕方の6時前後が多くなります。また、雨の日の翌日は、花粉の飛散量が少ないと思われるかもしれませんが、雨で落ちた花粉が乾いて再び飛散するので、飛散する量は、かえって多くなるといえます。

「花粉症にならない人」はいる?

体質による個人差はありますが、今は平気な人でも、この先かからないとは言えません。発症する確率は、それまでに花粉を吸ってきた量が関係します。数年しか花粉を吸っていない子どもと、20年間吸ってきた大人では、大人の方が発症しやすいといえます。

花粉症を完全に治す治療法

減感作(げんかんさ)療法以外に現在、花粉症を完全に治す治療法はありません。それにしても、定期的に長期にわたって注射を受けることは容易ではありません。また、花粉症などのアレルギーは、過敏性によって起こる病気で、症状が悪化してからは薬が効きにくくなってしまいます。
※減感作(げんかんさ)療法とはアレルギー性疾患への治療法の1つで、原因となる抗原を増量しながら、定期的に注射して、過敏性を低下させる。脱感作(だつかんさ)療法、免疫療法ともいわれる。

世界の花粉症

ヨーロッパのイネ科植物花粉症、アメリカのブタクサ花粉症、日本のスギ花粉症を、世界の3大花粉症といわれます。
ヨーロッパのうち、大陸では各種の樹木による花粉症も少なくはないのですが、花粉症発見の地であるイギリスでは、イネ科の花粉症が多く、人口の15〜20%以上が発症しているといいます。
北欧と呼ばれるスカンジナビア地域では、シラカバなどのカバノキ科の花粉症が多いといわれ、10〜15%程度という数字があります。最近では、カバノキ科の花粉症をヨーロッパの花粉症の代表的なものとして述べることもあります。
アメリカにおける有病率は5〜10%程度で、ブタクサ花粉症がほとんどといわれますが、国土が広大なため、地域によってさまざまな種類の樹木・草本が問題になっているようです。
寒冷地域であるカナダでは、カバノキ科の花粉症が多く、6人に1人という数字もあります。

ブタクサとブタクサ花粉

花粉症の増加は日本経済にも深刻な影響が!?

花粉症対策に使われる医療費は、平成6年推計で年間1200億円から1500億円とされていました。それが平成11年の調査では、有病率10%とした場合の年間医療費は2860億円まではね上がり、労働損失額は年間650億円と推定されました。
スギ花粉の大飛散があった平成17年の場合、第一生命経済研究所の試算では、患者が花粉症対策に用いる費用(花粉症特需)は639億円に上ったといわれ、シーズン中の外出などを控えるために減少する個人消費は、1〜3月だけで7549億円も減少するという数字をはじき出しています。
そして平成21年……花粉の飛散量が減少傾向にあるという報告は、残念ながらありません。店頭には、「花粉やホコリをカット!」とアピールするマスクや専用メガネや帽子などが居並ぶ光景は、今や珍しいことではなくなっています。

花粉は一年中飛んでいる

最近、通年性アレルギー性鼻炎と花粉症の両方に悩む人や、複数の花粉に反応する人も増えており、ほぼ一年中くしゃみ・鼻みず・鼻づまりや目のかゆみ・異物感に悩まされる人も少なくありません。
真夏と真冬の短い期間を除くと、ほとんど年中、何かの花粉が飛んでいます。量や範囲が圧倒的に多いのは風によって花粉が運ばれる風媒花で多いのはスギ花粉です。しかし、北海道や沖縄にはスギはほとんど存在しないためスギ花粉症がなかったり、北海道ではシラカバ花粉症が多かったりと、地域の特色があります。
飛散時期も地域によって多少異なり、たとえば、九州地方でイネ科の植物が年末まで飛んだり、北海道ではブタクサがあまり飛ばないということがあります。花粉のおおまかな飛散時期は以下のとおりです。


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